いんすぴらいふ

一番楽しそうな選択をする

【実話】無事でよかった!私が海外で夜中に2人の白人にカツアゲされた話。

2014年、ニュージーランド

私の留学は半年が過ぎ、ここクライストチャーチも冬の終わりを迎えていた。

 

日本食レストランのバイト(皿洗い)が終わり、刺身のまかないを握りしめ帰路につく私。

 

滞在しているホテルまでの距離はおよそ1キロ。

まっすぐ歩けば辿り着ける、歩きなれた道だ。

 

お疲れさまでしたと、いつものように他の従業員に告げてレストランを後にする。

疲れた体を引きずりながら、雲一つない夜空を見上げながら歩いていく。

 

ホテルに着けば日付が変わっている時間だった。

街灯はぽつぽつとあるだけで薄暗く、辺りは住宅街だ。

今日も人の気配はなく、見慣れた街路樹の横を次々と通り過ぎていく。

 

「明日は休みだ。何をしようか」

そんなことを考えていると1つの異変に気付く。

 

 

 

人だ…

 

 

 

この時間の住宅街で人に会うのは珍しかった。

小さな商店こそいくつかあるが、もちろんどれも閉まっている。

この道でこんな時間に人が歩いているなんて

そう思った。

 

100mほど前から歩いてくる2人。身長は180センチほどの男たち。

 

なんとなく嫌な感じがする。

そう思うと同時に、そこはかとない不安が押し寄せる。

 

逃げたほうがいい、直感でそう思った。

しかし一本道で、道路側に出ようにも植物が植えられており、だいぶ引き返さなければならない。

 

走って逃げるか?いやまずい

彼らが危険人物だった場合、下手に刺激してはならないだろう。

 

何が最良の選択か、考えている間に

50m、40m、30mと、男たちが近づいてくる。

 

何をしてもダメな気がしてきた結果

普通に横を通り過ぎることにした。

 

20m

 

できるだけ目を合わせず、平静を装って通り過ぎよう。

きっと大丈夫

 

10m

 

心臓が体のどこにあるかはっきりわかるくらい、大きな鼓動をあげる

耳の中に心臓があるのかと錯覚するくらいドクッドクッと脈打つ。

大丈夫大丈夫。そう思っていた

 

0m

 

 

 

 

マルフォイ「おい、金持ってる?」

 

 

 

 

 

突然だがここで2人組の名前はマルフォイとスネイプとしよう

マルフォイが低めの声で私に告げる。

 

そしてここからハンターハンター大好きな私は心理戦を始める。

 

 

金持ってるといった場合、出せと言われて盗られるだろう。

持ってないといった場合、明らかに財布が入っているであろう私のリュックを調べられるだろう。

 

 

どうする、考えろ

 

 

絶対に金をとられたくない、財布には日本の学生証やクレジットやデビットが入っている。とられるわけにはいかない。

 

答えず走って逃げるか?

いや、危ない。壊滅的に運動不足だ。

一か八か殴ってみるか?

いや、勝てる気しないし負けたら、痛い目にあって財布もとられる。

自分二の腕ぶよぶよだし

 

数秒で頭フル回転させて辿り着いた答えは…

 

 

 

嘘つこう

 

 

 

この瞬間、今まで学んできた英語をフル活用した。

中高大、そして語学学校で学んできた英語を

カツアゲ回避で使うことになるとは。

 

 

 

私「え?お金?ホテルに財布忘れて戻ってるところなんだよね!」

 

 

 

とっさに出た返答。言った瞬間ダメだと思った。

 

は?じゃあリュックの中みせてみろよ

とか言われたら終わりだ。

 

私をにらむマルフォイ。

しかしここでスネイプが衝撃の一言を放つ、

 

 

 

スネイプ「え?そうなの?」

 

 

 

あれ?信じてる?

正直私はここであの名言を思い出した。

 

 

 

攻撃は最大の防御

Attack is the best form of defense

 

 

 

私は攻めることにした。

相手が何か言う前に、逆に自分から歩み寄って仲良くなって自分を守ろう。

考える隙を与えない。わかりあえるさ

彼らも同じ人間だもの。

 

それから、手に持っているまかないをマルフォイに差し出した。

日本食レストランで働いていて新鮮な魚をもらったから食べていいよと言った。

怖い表情のまま、まかないを受け取るマルフォイ。

月に一回の豪華なまかない。様々な海の幸が詰め込まれた、南半球の海の宝石箱、とでも言おうか、そんなまかないをマルフォイは袋から取り出し、タッパーのふたを開ける。

 

ここでまた私の前に大きな壁が立ちふさがる。

 

 

 

あ、箸ないや

 

 

 

しまった。ホテルで食べる予定のため、箸はない。

手で食べられるか!と激怒しないか、不安が押し寄せる。

その辺のいい感じの木の枝2本渡そうか迷っていると

マルフォイはタッパーのふたでサーモンから食べ始めた。

 

よし、あとはスネイプの足止めだ。

 

ここから怒涛のマシンガントークを発揮する。

あの時だけはネイティブ張りに話せてたと思う。

私が海外に来た理由やSNSであった人で童貞を捨てたことなど、どうでもいいことをひたすら勝手に話し続けた。

 

全てはお金の話をさせないため。

 

宝石箱の中身をみるみる減らしていくマルフォイを横目に、スネイプに話し続ける。

スネイプは黙って聞いてくれてた。それか引いてた。

 

 

やがてマルフォイはまかないを食べ終わり、私の話はキリのいいところで終わらせた。

 

 

 

やばい

 

 

 

数秒の沈黙が訪れる。

どう別れればいいのか。ここで話が戻らないだろうか。

そんなこんな考えているとあることを思い出す。

 

 

タッパー返してもらわなきゃ

 

 

洗って返す。それが日本食レストランのタッパーの掟。

それをマルフォイに伝えると感謝の言葉とともに私の手に返却された。

 

これからどこ行くの?と聞いたら、

2人が答える

 

 

マルフォイ・スネイプ「ビリヤード」

 

 

ハモる2人。口元が緩む私。

しかしここで笑ったらすべてが台無しと思い、笑いをこらえる。

 

よし、よくわからんがとどめだ。

 

 

 

私「そっか!気を付けてね!」

 

 

 

内心めっちゃビビりながら歩き始める私。

2人の顔を見ずに立ち去ろうとすると

 

 

 

マルフォイ・スネイプ「あぁ」

 

 

 

私は謎の高揚感とともに再び帰路につく。

そしてマルフォイとスネイプと不安は夜の闇に消えていった…

 

 

 

まとめ

 

全部実話です。

これはめちゃめちゃ運が良かっただけで、夜の一人歩きは本当に危険です。

後で思い返してみると、彼らは酒で酔っていたか、何かしら吸っていたと思います。

今なら笑い話にできますが、実際は本気で死ぬかもしれないと思ってました。

 

あとは、海外行くなら語学はしっかりやっておきましょう。

よく、ボディランゲージでいける!とか、話せないけど何とかなる精神の人がいますが、

何かに巻き込まれた場合、それで何とかなると思いますか?

 

今まで大丈夫でも、次大丈夫な保証はどこにもありません。

自分の身は自分で守りましょう。

 

長くなってすみません、また宜しくお願いします。